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「ぼくは……名前はイウだ……。貴族の生まれだが、小さい頃両親を亡くして家族はいない。ぼくはオルギアに行きたいんだ。案内を頼んだ人がいて、近道を知っているらしかったんだけど途中ではぐれて……」

どう答えればいいのかと考えながらイウゆっくりと言った。彼の身に起こったことは、おいそれと話せる内容ではなかったし、話したところで簡単に信じられるようなことでもない。
それにイウがエメザレを殺したと知れれば、クウェージアでは間違いなく死刑。同盟を結んでいるスミジリアンでも極刑は免れないだろう。例え両国の王、または指導者から、どのように寛大な処遇が下されようとクウェージアの王族である以上、自由の身でいられないことだけは確かだ。
おそらくこれが一番無難な答えだった。
それにしてもクウェージアとスミジリアンを結ぶ街道を「八号線街道」と呼ぶことを彼は初めて知った。

「ふうん。オルギアねぇ。あんな遺跡、命がけで見てどうすんの? おたく考古学者でも目指してるの」

嫌味には聞こえないがセウ=ハルフはふざけた調子だ。

「まぁそんなとこだよ」

とりあえず、納得してくれたらしいセウ=ハルフに安堵して、イウは息を吐くように言った。


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