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1580年、革命はついに起こった。
国王グセルガと王子イウがエメザレによって殺害されたことで、白い髪が黒い髪を支配した時代は終わり、四百年続いたクウェージア王国は滅んだ。
エメザレと私は臨時政府を開き、新王国誕生の準備に追われることとなった。

その手紙が届いたのはクウェージアの黒革命から三十七日後のことだった。
アスヴィットという整備部隊に所属する少年が、首都で拘束したユグリヴェ(白い髪)族の少年からエメザレに手紙を渡して欲しいと頼まれたらしく、臨時政府の本部へとやってきたのだ。

その時、私たちは忙しく時間に追われる毎日で、アスヴィットという少年の用もろくに聞かないで追い返そうとした。
するとアスヴィットは突然に「ゴルトバ!」と叫んだ。
その言葉を聞いたエメザレはなぜか持っていた書類を落とすくらいに動揺し、散乱した書類を拾いもせずに慌てて部屋を飛び出していったのだ。
エメザレは見たこともないほどに狼狽していて、その少年を自室に招き入れると、受け取った手紙を身体を震わせながら読んでいた。

「私は行かなくては」

その手紙を読み終わるなりエメザレは叫ぶように言うと、アスヴィットを連れて出て行こうとしたので、私は不安になって引き止めようと腕を掴み彼に聞いた。

「どこへ行くというんだ」

だが彼は私の問いに答えずに私の手を振り払った。

「大丈夫、帰ってくるよ」

そして彼は行ってしまった。
置いていかれた手紙には死んだはずの王子の名が書いてあった。

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