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私は何度か目を開き、また何度か目を閉じた。時間の流れなどもはや私には関係がなく、私は時を凌駕して不安定な意識で世界を漂っている。

次にしっかりと目が覚めたとき、傍らには私を心配そうに見つめる息子リバンの姿があった。
そして何人かの家臣達も沈痛の面持ちで私を取り巻いている。
時間の感覚が狂っているのだろうか。窓の外はもう闇に包まれていた。

「お目覚めですか。どうです。ご気分は」

リバンは私の手を優しくさすりながら聞いた。
私は三十の時にオルビナという女性と結婚し一男をもうけた。
妻は七年前に他界したが、息子はそのことに心折れることなく立派に成長した。

今年で二十二になるリバンは早くも若き王の威厳を携え、知識、剣術共に素晴らしい才能に恵まれた、私には勿体無いほどによくできた息子であった。
リバンならば、この国を長き繁栄に導くことができるだろう。
その事に関して私は一つの心配もない。

「白い髪の少年を見た」

私にはほんの少し前のような感覚だったが、もう何日か経っているのかもしれない。もしくはただの夢で、そんな出来事などなかったのかもしれない。
どちらにせよ、この不思議な出来事を息子に話してやろうと口を開きかけた。


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