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「やっと見つけたよ。ありがとう」

私の横でそんな声がした。はっとして目を開けるとそこには先ほどの白い髪の少年が、穏やかな顔をして立っていた。

少年の手にはひどく懐かしい髪の腕輪がしっかりと握られている。
寝室の窓の外からは朝日が昇りつつある。少年はその白い朝の光に包まれて消えてしまいそうに見えた。

「ぼくは昔、ここに住んでいたんだ。懐かしくてつい見て歩いてしまったよ」

少年は嬉しそうに微笑んだ。
クウェージアの黒革命が起こる前、ここにはクウェージアの王族が住んでいた。
私たちはクウェージアという国と白い髪という種族の存在を忘れないために、首都を遷都せず、彼らの建物も一切破壊することもなく、そのままに無名の国を立ち上げたのだ。

「お前は……まさか…まさか、イウ王子なのか」

二十九年前エメザレが受け取った手紙には確かにイウ王子の名があった。
だが私たちは国王グセルガと王子イウの死体を確認し、そして確かに埋葬したのだ。
それにこの少年はどう見ても、十四か五くらいだ。
もしイウ王子が生きていたとしても、とうに四十は超えている。

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