3/4


何日が経ったのかわからない。ずっと夢を見ているようだ。
私の意識は途切れ途切れで、ぼんやりと霞んだ世界に溶けてしまいそうなほどに曖昧だった。
寝室の高い天井はただ白く、今はそれがなぜかとても美しいように思えて、私は不思議な充実感に包まれていた。

傍にはおそらく私の息子と、アスヴァリン、そして何十人もの家臣達がおり、私の帰らぬ遠出を悲しみながら見送っているのだろう。
しかし私の視界はぼやけ、目に映るものを理解できない。

「どうかエメザレを私の隣に葬ってほしい」

私はなぜそんなことを言ってしまったのだろう。止まり行く思考の中で無意識に口が動いた。
誰に向かって願ったのか知れない。

「なにをおっしゃるのです!これ以上、母を愚弄しないでください。そんなことを言わないでください」

とてもすぐ傍で、愛しい息子は泣いているのだろう。もうその顔をしっかりと捉えることはできないが。

「私は答えた」

私は必死に口を動かした。声が出ているのか自分でもよくわからなかった。




- 16 -


[*前] | [次#]
しおりを挟む


モドルTOP