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彼が言うには二日前の深夜、突然見知らぬ白い髪の少年にたたき起こされ、そしてとある場所を掘れと言われた。
それだけ言うと少年はいつの間にやら消えていて、夢かとも思ったが念のために言われた場所を掘ってみると、きれいに埋葬されたエメザレの死体が出てきたのだそうだ。

「少年は名を名乗らなかったか」

「いえ、名乗りませんでした。ただ、この世のものと思えない恐ろしい目をした少年でした。
恥ずかしながら、私は圧倒されて身体を起こすことも叶わず、何を言うこともできずに震えながら少年の話を聞くしかありませんでした」

彼は少し言いにくそうにしながらも、それでもしっかり私の顔を見て言った。

「そしてもう一つ、あり得ない不可思議なことがございました」

急に彼は声をひそめた。

「元帥様のご遺体は一切腐敗していないのです。死んだ時のそのままの姿です」

そして私の耳元に口を近づけるとゆっくりと静かな声でそう言った。

死体が腐敗しないなどあり得ない話だったが、私はその話を信じた。
なぜかずっと、エメザレは永遠に若く美しいままであるような気がしていた。
もしくはそうであってほしいと願っていただけなのかもしれない。
私にとってエメザレはもはや美しい残像の思い出での人物であり、色あせることもなくその姿は脳に保存されて変わることがない。

「遺体は今どこにある」

「明日の早朝には到着するかと存じます。わたくしは先行して陛下にお知らせに上がりました。長話はお体に障りますゆえ、そろそろ失礼をいたします」

そう言って丁寧に礼をすると、アスヴァリンは去っていった。

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