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「陛下、アスヴァリンが帰還しました」

突然に扉が開き、そう言って慌てた様子で一人の兵士が知らせに訪れた。

「陛下!」

だが兵士の知らせが終わらぬ間に、アスヴァリンは息を切らせながら寝室に飛び込んできた。
家臣達はざわめき立ち、陰鬱な静寂がにわかに消え去った。
アスヴァリンの名を聞いて、まさか。と私は期待に胸を躍らせた。

「アスヴァリン、無礼だぞ」

リバンは強い口調でアスヴァリンを注意したが、私は立ち上がろうとしたリバンを制した。

「陛下、重大なお話でございます。どうか」

アスヴァリンはひざまずき、荒い呼吸を整えながらも興奮した表情で私に目配せした。

この息子と同じ二十二歳の若者は、二十九年前に臨時政府本部に手紙を届けに来たアスヴィットの息子であった。
アスヴィットは私の良き家臣であり、親しい友人でもあったためその息子であるアスヴァリンを私は自分の子のように思い、可愛がっていた。
成人してアスヴァリンは、エメザレ探索の部隊に志願したので、喜んで私は彼に一つの部隊を贈り、隊長の位につけてやった。

彼が予定外の帰還をする理由は一つしかない。


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