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「中にあるものは好きに使って良いそうだ」

「感謝します」

そう言ったエメザレの後ろ姿を憫笑を含んだ顔で眺めた。
今から、ジヴェーダが嫌忌する全てを兼ね備えているこの男を、自由に蔑み踏みにじることができるのだ。
支配して弄び恍惚に浸ることができるのだ。
自身の努力と能力で手に入れたこの権力を行使して、人を制圧できるとはなんと素晴らしいことなのだろうか。
嬉しさのあまりジヴェーダは身震いした。

「服を脱げ」

唐突なジヴェーダの物言いにエメザレは不思議そうな顔をして振り向いた。

「身体検査ならば先ほど済ませました」

「俺は服を脱げと言っている」

何かを感じ取ったらしいエメザレは身を硬くして構えた。ジヴェーダが歩み寄ると警戒してエメザレは後ずさりしたが、すぐにタンスか何かにぶつかって逃げ場はなくなった。
タンスに両手を付き、その中にエメザレを閉じ込める。
エメザレは怯えとは何か違う微妙な眼差しでジヴェーダを見つめた。

誰か男を支配するとき、ジヴェーダの場合は特に美しさに拘らない。無論美しいに越したことはないが、もし美しさに拘るのならばその時は女とすればいい。男を支配して得られる官能は、視覚的なものでなく精神的な満足感のようなもので、それは自身が成功者であることを最も強く感じられる瞬間だった。

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