3/8 「中にあるものは好きに使って良いそうだ」 「感謝します」 そう言ったエメザレの後ろ姿を憫笑を含んだ顔で眺めた。 今から、ジヴェーダが嫌忌する全てを兼ね備えているこの男を、自由に蔑み踏みにじることができるのだ。 支配して弄び恍惚に浸ることができるのだ。 自身の努力と能力で手に入れたこの権力を行使して、人を制圧できるとはなんと素晴らしいことなのだろうか。 嬉しさのあまりジヴェーダは身震いした。 「服を脱げ」 唐突なジヴェーダの物言いにエメザレは不思議そうな顔をして振り向いた。 「身体検査ならば先ほど済ませました」 「俺は服を脱げと言っている」 何かを感じ取ったらしいエメザレは身を硬くして構えた。ジヴェーダが歩み寄ると警戒してエメザレは後ずさりしたが、すぐにタンスか何かにぶつかって逃げ場はなくなった。 タンスに両手を付き、その中にエメザレを閉じ込める。 エメザレは怯えとは何か違う微妙な眼差しでジヴェーダを見つめた。 誰か男を支配するとき、ジヴェーダの場合は特に美しさに拘らない。無論美しいに越したことはないが、もし美しさに拘るのならばその時は女とすればいい。男を支配して得られる官能は、視覚的なものでなく精神的な満足感のようなもので、それは自身が成功者であることを最も強く感じられる瞬間だった。 [*前] | [次#] しおりを挟む モドルTOP |