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ああ胸糞の悪い。
エメザレの瞳を見て一番にそう思った。黒い瞳は真っ直ぐで、洗練された雰囲気。孤児だというのに気品漂う、そして美しい顔立ち。

「俺について来い」

「はい」

エメザレはどこに、とも聞かず素直にジヴェーダの後に続いた。
城の果てとでも言うべきだろうか。グセルガがエメザレに与えた部屋は使われていない物置だった。ここを開けるのは何年ぶりなのだろう。もはや召使にすら忘れ去られていたこの部屋。鍵は付いていないようだ。だが、かつては付いていたのかもしれない。取り外された跡がある。

ドアを開けるとほこりが勢いよく宙を舞った。
中にはほこりにまみれて壊れかけた家具やら置物やらが詰め込まれている。窓は壊れて閉まらないらしい。外から力ない太陽の光が差し込み部屋を薄明るく照らしている。

「ここがお前の部屋だ」

「わかりました」

こうなることを予想して来たのだろう。その部屋を見てもエメザレは驚かなかった。それが気に入らない。

「入れ」

ジヴェーダはエメザレを強く物置に押し込め、自分も物置の中に入るとドアを閉めた。

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