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「そうだよ。君はどうかしてた」

その瞬間だった。悲しみが唐突に消えた。心がきれいに整理され尽くして、感情がまるで静かになった。
どうして、あんなことで私は傷ついたのだろう。死のうとか、生きたいとか、そんなくだらないことで、悲しくなったりしたんだろう。
何はともあれ、引っ付いているエスラールを放すまいと、抱きしめ返してから、私は彼の耳元で囁いた。

「私と一緒に来るだろう? だって、私を愛しているんでしょう? 私とこの国を変えよう。皆を救おう。私たちは英雄になるんだ」

「お前は、誰だ」

抱きつく私を引き離して、彼はしつこく同じ質問をした。

「何度、言わせるの。私はエメザレ」

彼は何か言いかけたが、結局何も言わなかった。

「さぁ、ガルデンへ行こう。私たちの邪魔をするものは全て殺すんだ。君がヴィゼルにやったみたいに」

目に入ったヴィゼルの死体を見て、私は笑いながら言った。清々しい気持ち、冷たい小川のように、とても澄んだ気持ち。

「俺は愛してるよ。エメザレを」

「私も。愛してるよ。エスラールを」

くだらない戯言に縛られていては、幸福な人生を見出すことはできない。
私はもっと冷静に生きるべきだったのだ。エスラールに対する愛はけして忘れないだろう。そして、くだらない戯言から開放された今、私たちの未来はかつてないほどに光り輝くものとなった。

そして安心した。
私はやっと存在として死ぬことができたのだ。


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