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喜んでもらえると思ったのに。抱きしめてもらえると思ってたのに。
昔に戻りたかった。また、この顔で笑いたかった。
それを望んでいるのだと思っていた。この顔とこの体があれば、なんでもできる気がしていた。
一生懸命頑張って、いろんなことを我慢して、汚いことして、たくさん殺して、ここまでやっと生きてきた。
その終焉がこうならば、何故今まで死ななかったのだろう。なんでくだらない賭けをしたんだろう。
死ねばよかったのに、死ななかった。こんな場所で、まだ、生ぬるい希望でも抱いていたのだろうか。

「エメザレ……」

エスラールは、私がなかなか起き上がらないことを心配してか、恐る恐る私に近づいてきた。
私は、堪えつつも溢れ出る涙を見られまいと、体を丸めた。

「もういいよ」

「泣いてるのか?」

その声は優しかった。あまりにも優しすぎて、余計に涙が噴き出してくる。

「……ごめん」

彼は低くそう言うと、私の頭を撫でた。それから私を体ごと引き寄せて、せいいっぱい抱きしめた。

「変なこと言ってごめん。せっかく帰ってきてくれたのに。どうかしてたよ」


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