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「新造生物ゴルトバについて―――体を修復する方法
 新造生物には、変則能力を持ち、個人世界を所有できる変則系新造生物と、身体的に秀でた能力を持ち、個人世界を所有できない戦闘系新造生物がいると説明したが、このゴルトバという新造生物は特殊である。

もともとは、エルド派のアンヴァルク=イースと同じ能力を欲したレスト派のアンヴァルク=ゼバスが作成した、復活と修復を得意とする新造生物だったが、ゼバスの消滅で、独立し自らの意思で復活と修復を行っている。
ただし、現世界では、世界機構により死者の復活は禁止されているため、修復だけの能力のようだ。
裂傷や骨折だけではなく、腕や足を失っていても、遺伝子の一部を初期化することで、身体の修復は可能である。
それ以外では、不変遺伝子の配布も特筆すべきだろう。身体の修復後、その身体の形状は死後も永遠に維持される。

ゴルトバは完全の母である。契約者は死後、母の元へと帰り、永遠に母へ我が身を尽くさなくてはならない。また、契約者にはゴルトバの分子が配布される。分子は人生の戒めと反省を教えてくれる、未来への導き手である。

ゴルトバの公式個人世界へは誰でも入ることができる。
入界の言葉は、次のページの一番下の段に直訳付で書いておく。


だって。次のページはその本のどこかにあるみたいだ」

「わけが、わからんな。新造生物に変則能力、アンヴァルクに不変遺伝子って何のことだろうな」

エスラールは苦い顔をした。彼は本を読んだり、難しいことを考えたりするのが、なによりも苦手なのだ。

「私もよくわからない。おかしな本だよね」

そう言いつつも、私は密やかな希望を抱いた。もし、この体が治ったなら、また人生をやり直すことができないと。もしかしたら、昔に戻れるかもしれないと。

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