10/11 「あ、ねぇその本、一体なんの本なんだ? それを買ったとき、古本屋のばばあが変なこと言ってたぞ」 「変なこと?」 「なんでも、世界を知りすぎると大変なことになるとか、なんとか。シクアス語の事典だと思って買ってきたんだが、違うのか?」 エスラールは枕元にあったその本に手を伸ばした。 「あ」 彼が勢いよく本を開けると、そのついでにどこかから、取れてしまった四、五枚のページがはらはらと床に落ちた。 「うわ、すまん」 「いいよ。それ相当古いみたいだし。事典といえば事典のようだけど。何なんだがよくわからない」 エスラールは落ちたページを拾うと、本と一緒に私の膝の上に置いた。 「ま、飯食えよ。ほれ、あーーん」 「待って、このページ、面白いことが書いてある」 それは、先ほどエスラールが落としたページの一枚だった。 「なんて書いてあるんだ?」 [*前] | [次#] しおりを挟む モドルTOP |