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「あ、ねぇその本、一体なんの本なんだ? それを買ったとき、古本屋のばばあが変なこと言ってたぞ」

「変なこと?」

「なんでも、世界を知りすぎると大変なことになるとか、なんとか。シクアス語の事典だと思って買ってきたんだが、違うのか?」

エスラールは枕元にあったその本に手を伸ばした。

「あ」

彼が勢いよく本を開けると、そのついでにどこかから、取れてしまった四、五枚のページがはらはらと床に落ちた。

「うわ、すまん」

「いいよ。それ相当古いみたいだし。事典といえば事典のようだけど。何なんだがよくわからない」

エスラールは落ちたページを拾うと、本と一緒に私の膝の上に置いた。

「ま、飯食えよ。ほれ、あーーん」

「待って、このページ、面白いことが書いてある」

それは、先ほどエスラールが落としたページの一枚だった。

「なんて書いてあるんだ?」

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