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「そうだね。私らしくない」

私は一生懸命に笑った。少しでも前の笑顔に似るように。少しでも昔に戻りたくて。
でも実際は、硬くなり不自然に再生した皮膚が、わずかにつりあがっただけだろう。
どんなに醜い顔で私は笑っているのだろう。

「それよりも、エスラール。どんな本を買ってきてくれたの?」

「やっと機嫌を直してくれたか」

彼は嬉しそうに言うと鞄の中から古臭い本を取り出した。
表紙は焦げ茶色ですすけた金で装丁が施されている、分厚い本だった。
そこには意外な文字が刻まれていた。

「シクアスの本だね」

「確か、昔シクアス語を訳すのが好きだって言ってたよな」

「好きというか、敵の言葉だったから使えるといろいろ便利だったんだ。でも君にはそう言ったかもしれないね」

彼が少しがっかりしたような表情をしたので、あわてて私は彼を気遣った。

「それより、お腹がすいたよ」

また嘘をついた。食欲など皆無なのに。
エスラールの暗い顔は嫌いだ。

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