悪の終


「なんだ」

目を開けると不快な太陽の強い光が目を直撃した。そのせいもあってか自分でも嫌になるほど不機嫌そうな声が出ていた。
部屋の外のおそらくメイドであろう若い女はその声が恐ろしかったのか、なかなかジヴェーダの問いに答えない。普段ならば怒鳴り散らしたことだろうが、少なからず感傷的になっている彼には怒鳴ることすら面倒だった。
彼は太陽の光から逃れようと身体を起こすと、右手を両目に当てて即席の暗闇を作った。指の隙間から太陽を見れば、思っていたより時は西に傾いている。

「なんだ。早く言え」

彼は珍しく無理をして優しい声を出した。

「失礼します」

静かにドアを開け、ジヴェーダの顔色を伺うように静々と入ってきた若いメイドは、まだベッドに半分入っているジヴェーダにまず驚き、何も片付けられていないその部屋を見て今度は驚いたような呆れたような顔をした。


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