悪の終


ジヴェーダは後ろに向き直ると、力いっぱいに切り取ったそれを客席めがけて投げつけた。それは見ず知らずの女の双眼鏡にぶち当たり、彼女は痛そうにしていたがやがて逸物を掴んで嬉しそうに飛び上がった。観客たちは羨ましそうな叫びをあげながら手を叩いた。


「さて! 残酷非道豪腕無敵のジヴェーダの拷問はいかがでしたでしょうか! これから最終審判を行いたいと思います」

ジヴェーダが司会者を睨みつけると、司会者は慌ててそう言った。
闘技場は静まり返り、皆々は皇帝の動きに注目した。皇帝の恩情を受けることができれば、このダルテスはここで殺されず延命処置をされ、運がよければ生きて帰ることができる。
しかしラルグイムの皇帝は優雅に人差し指を前に突き出し、しばらく考えるように間を置いて、そしてゆっくりと人差し指を下に向けた。

「殺せ!」

と誰かがいきり立って叫んだ。

「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」

民衆は口々に叫び興奮は最高潮に達した。


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