悪の終


ラルダ・シジとのその後の対談で、一ヵ月後にノムン闘技場で拷問ショーを開催する事が決まった。
そのニュースはあっという間にラルグイムを駆け抜け、ベイネでは街中にポスターが貼られた。ショー見たさに観光客が押し寄せ人と馬車が溢れかえって一層ベイネの空気を悪くした。そのうえ驚いたことにラルグイムの皇帝までやってくるとあって、その混乱は常軌を逸し、国を挙げてのお祭り騒ぎのようになっていた。

ベイネではエクアフ種族は珍しく、さらに灰色髪のエクアフはおそらくジヴェーダ一人しかいなかったため、ジヴェーダは気軽に外に出る事ができなくなった。
暇を持て余して仕方なく彼はショーを待ちわびた。まるで愚かなベイネの民衆のように。哀れな誰かを絶対的に支配して早く癒しが欲しかった。



「さぁ、しっかりとご覧あれ! 遠く北の国クウェージアから訪れた、残酷非道豪腕無敵の白い髪の拷問師ジヴェーダの登場だ!」

長ったらしい、いくつもの前座を経てやっと彼の出番が回ってきた。
ベイネはまるでこの日を待ち望んでいたかのように晴れ渡り、日は円形の舞台を焼き尽くすようにして照らしている。屋根のない闘技場で、観客たちは太陽にさらされながらも狂ったように歓声を上げていた。

「白い髪ね……」

舞台裏でジヴェーダは呟いた。


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