悪の終


「充分です。むしろ気が引ける額です。私にそんな価値がありますか?」

ジヴェーダは半笑いを浮かべて言った。彼は得意の平静を装ったが、ラルダ・シジの金銭感覚に恐れ入って気の利いた能弁もふるえない。
誇張が入っていると思われたフォスガンティの言葉は全くの本当であったらしい。

「なにを言っているんだ、ジヴェーダ君! きみは世界が認める素晴らしい拷問師だよ!」

燦々と輝く太陽のような笑顔をしてラルダ・シジは大声で言った。

「……素晴らしい?」

ジヴェーダは小さくぼやいたが、ラルダ・シジには聞こえなかったのか見事に流された。

「では! これからよろしく頼むよ」

平静の表情で唖然とするジヴェーダの肩を力強く叩き、ラルダ・シジはきれいに並んだ白い歯を見せて笑った。


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