悪の終


「お会いできて光栄です。ラルダ・シジ閣下」

ジヴェーダはもちろんシクアス語で彼の武器でもあるしたたかさを見せ、ラルダ・シジにへつらった。
ジヴェーダから少し間を置いた後ろには、付いてきたフォスガンティが部屋の置物の一部のように佇んでいる。

「閣下などと堅苦しい! シジさんとでも呼んでくれたまえ」

人が良さそうな笑みを浮かべてラルダ・シジは言った。ジヴェーダは人の心の裏を察することにはかなり長けていると自負しているが、どう見てもこのシクアスの大富豪は育ちの良い大きなお坊ちゃんのように穏やかだ。

「こちらこそ、行くあてのなかったところを呼んで頂けて助かりました。それにこのように素敵な贈り物まで」

とジヴェーダは後ろのフォスガンティに右の手のひらを差し向け、左手は自分の胸に当ててエクアフらしく優雅に頭を下げた。


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