悪の終


「そういうジヴェーダ様はなぜ拷問師になられたのですか?」

フォスガンティは瞬間に表情を変え、また男娼らしく媚びた声を出した。

「それは……」

なぜ拷問師になったのか。
それは思い出したくもない理由からである。彼は長いことこの事実から目をそらし、できれば忘れ去って一生そのことについて考えることがないようにと願っていた。

「金が欲しかったからさ」

そうとだけ答えると、話を続けさせないとばかりにフォスガンティをきつく抱きしめた。よほど寒かったのかフォスガンティの身体は冷え切って氷のようだった。
フォスガンティは人形のように静かになりジヴェーダの腕の中に納まった。
彼は現実から逃げるように目を閉じた。

嫌な出来事を思い出させる機会を作った、憎むべきフォスガンティを痛めつけもせずに思い出に浸ろうとしたのは、その時ひどく孤独を感じ彼らしくもなく感傷的だったからに違いない。


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