悪の終


「そういえば、ジヴェーダ様はシクアス語を話されます?」

空いたグラスに辛い酒を並々注いでから、豊かな胸を突き出すようにフォスガンティは彼の隣に寝転んだ。

「文字は読める」
「なら問題ありません。シクアス語は発音も簡単ですから、そのまま読めばたいてい通じますよ。エクアフ語は発音が難しくて。ぼくのエクアフ語は舌足らずでお粗末でしょう?」

フォスガンティは言ったが、フォスガンティのエクアフ語は多少のシクアスなまりがあるだけで実際のところかなり流暢だった。
そんなことはない。と言うべきところだがジヴェーダの口は動かなかった。

「ここは寒いんですね」

と言ってフォスガンティはあからさまに身を寄せてきた。本当に寒いのかフォスガンティの身体は冷たかった。この暖かくもないの気温の中、裸でいればそうもなる。服を着ているジヴェーダでさえ少し肌寒いのだ。

「ラルダ・シジがおられるベイネの都市もぼくが生まれたところよりずっと寒いんです。もっともぼくがいつも裸でいるのが悪いんですが……ですがぼくはどうしてもトップレスでいたいんです。せっかく自慢の胸なのですから!」

フォスガンティは誘いに応じない彼に痺れでもきらしたのか、巨大な胸の膨らみをべたりと押し付けた。生暖かくやわらかなそれは女のものと何も変わらないように思える。


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