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「子宮の中」

「母さん、あなたは何者なの」

「私の名前は名前は名前はゴルトバ。私は私は新造生物」

「新造生物とは何」

「アンヴァルクが、アンヴァルクが、つまり神の使者が、あの時、二万年前、旧世界で大戦の時に、あの時に、たくさん製造された生物兵器ですよ。私の私の私の創造主はアンヴァルク=イース。だが、イースは削除されました。削除されました。だからだから、私は独立したのです」

「言っていることがよくわからない。アンヴァルクは、あのエルドの神殿に奉られている神の使者は、本当に存在するということ? 私はこれから一体何になるの」

「私たちは融合するのです」

その時赤い空を覆う無数の流星群がやってきた。
月以外には何もなかったはずの赤い空には、どこか遠い彼方からやってきたであろう小さな星たちが、空を埋め尽くさんばかりに燃え尽きる手前の輝きを放っている。

ゴルトバは抱きしめた。黒い髪の糸で柔らかく包み込んだエメザレの身体を。エメザレの目の前には、深い夜空ような広い恩愛を湛えた暗黒の大きな瞳があった。
ゴルトバはエメザレを胸に掻き抱き、愛しむように髪を撫でた。

「どこにも居場所がなかったの。なにもうまくいかなかったの。エメザレはとっても頑張ったのに、誰も誰も何も認めてくれなかったの。みんながみんながあなたを見捨てるの。みんながあなたを破壊するの。嫌悪するの。軽蔑するの。否定して否定して最後に全てを消し去ってしまったの。本当は英雄になりたかったの。みんなから愛されたかったの。あの国を救いたかったの。もっともっともっと力が欲しかったの。無力な自分が嫌いなの。あの悪い悪い眼差したちを破壊したいの。私が私が私が私があなたの全ての願いを叶えてあげる。おいで哀れな美しい子よ。私の私の私の私の愛おしい愛おしい可愛い可愛い子よ。私が私が全てをあげる。与えてあげる」

エメザレは母の胸の中で目を閉じた。
水の音がする。こんな気持ちになったことがなかった。無償の愛とはなんて偉大なのだろう。
黒い糸は、エメザレを、そして母までをも包み込んでいく。溶けていくような感覚がする。とてつもなく心地が良かった。


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