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寒いよ。なんだか寒いんだ。エスラール。

エメザレ、空を見てみなよ。月が綺麗だよ。
月とかさ、ちゃんと見たことないんだろう。今度見てみろよ。月はさ、月だと思って眺めてるといつまでもただの月なんだ。でも感動するまで見続けるんだよ。諦めないで見続けるんだ。そうしたらいつかきっと感動できるよ。そうしたら、月が綺麗だなって思えたら少し世界が綺麗になるだろ。

なんで君、独りぼっちで壊れてんのさ。俺、諦めないよ。俺がこんなこと許さないからな。うぜーとか鬱陶しいとか大きなお世話とか言われても聞かないからな。

何を言ってるの。僕は穴だよ。ただの穴さ。女が来るまでの代用品だよ。

俺、べつに淫売でもいいよ。誰とやってても好きだよ。嫌いになんかならないよ。エメザレの生き方の一つなんだろう。わかったよ。でも、痕、痛いだろう? やったって痛いのがひどくなるだけじゃんか。俺は本当に本当に本当に本当にお前のこと心配してんだぞ。嘘なんてついてない。俺の気持ち、わかれよ。

君はなんでそんなに綺麗な目をしているの。僕は無数に点在する黒い点なんだよ。

だからエメザレ、ぼくが王になった時はきっと、ぼくのそばにいてくれ。ぼくが迷ったり、何をすればいいかわからなくなったりした時は、お前が助言をするんだ。そうすれば、もっと良い国になるよ。そうでしょう?

そんな目で、純潔で高貴な王子の何も知らない真っ新な正義で、これ以上期待しても何もないんだ。あの私はエスラールが創ったんだよ。もういないんだよ。

エメザレ、聞いてるか? 君、ほんと死体みたいだな。幽霊だよ、これじゃ。でもこんなん悲しいだろ。悲しいんだろ。君はどこにいるんだ。一体どこにいるんだ。俺は悲しいよ。俺が悲しいんだ。

悲しいの? 悲しいの? どうしてエスラールが悲しいの?
どうしてあの時、私を救ったの。どうして私なんかを助けたの。


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