1/6 ◆5 正式にエスラールと別れてからジヴェーダは頻繁に訪れるようになった。 なぜそんなにも、エメザレに時間を割いてくれるのかはわからない。酒を飲み酩酊したうえでジヴェーダに散々に抱かれることが、日常の一部のようになっていった。 嫌でも抵抗できないのでエメザレの意思と少し食い違っているのは事実だが、それでも肉欲という意味では毎回満たされた。疲れて眠り込んでしまうときは安らかな気持ちにすらなる。 ジヴェーダの抱き方は信じられないくらいに優しかった。宮廷の時とは違う。 この冷徹な顔のどこから、その優しさを生み出しているのか不思議なくらいにジヴェーダの抱き方は優しいのだ。 こんな風に胸をずっと愛でてくれるひとに、いまだかつて抱かれたことがなかった。 大抵の場合、エメザレ側の快楽についてはあまり顧みられなかった。 ガルデンにいた時も、彼らは欲情を身勝手に擦り付けて来ただけで、吐き出すだけ吐き出すと汚いもののように冷たく突き放した。宮廷で手ひどくジヴェーダに犯された時も昔を思い出して、その時と同じような耐え方をすればよかっただけだった。 こんな恐ろしいほどの優しさを与えてどうしたいのだろうと思った。 眠りにつくまでずっと抱きしめて愛撫してくれる。髪を撫で、耳元に吐息を吐いて安堵を与えてくれる。 大きくて暖かい手はジヴェーダの持ちうる優しさのすべてなのかもしれないとすら思った。 もしかしたら本当に愛されているのかもしれないと錯覚するくらいに、快楽のために、その手は惜しみなく労力を割いてくれる。 でも愛されているわけではない。 ジヴェーダは同じ顔をして同じようなことを施設中の女にしているのだろう。その中には愛されているのだと信じているひともいるかもしれない。自分のように救いだと感じるひともいるのだろう。 愛(いつく)しみを与えられているかもしれないが、愛されてはいないのだ。 だから肉体が満たされても空洞がさらに膨張する。 [*前] | [次#] しおりを挟む モドルTOP |