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「お前……無理にしただろう」

「そうとも。無理やりやった。強姦したんだ。何度も何度もな。なんだか寂しそうだったからさ。めちゃくちゃよがってたなぁ。お前知ってたか、あんなになっても中の具合は変わってなかったよ」

「エスラール!」

エメザレは叫んだが、声が出ていない。

「エメザレはあんな身体なんだぞ。抵抗もできないのに。お前は化け物だ! ひとの心がないのか! なんで、なんでそんなことを」

エスラールはすごい剣幕で怒鳴るとジヴェーダに飛び掛かった。ジヴェーダは冷酷な顔で、エスラールが殴ってくるのを楽しみにしているかように嘲笑っている。

「エスラール!」

 エメザレはベッドサイドに置いてあったトレーを手に取り壁を叩いた。

「エスラール。聞いて」

 エスラールはこちらを見た。可哀想になんだか泣きそうな顔をしていた。

「無理にじゃない」

 ジヴェーダは力の抜けたエスラールを強めに押しのけると、再び舌打ちして、持っていたグラスを思い切り床に投げつけた。砕け散ったグラスを放置して、ジヴェーダは部屋を出て行った。

エスラールはベッドに腰かけ、しばらく頭を抱えて動かなかった。
エメザレはキラキラと光る割れたグラスの無数の破片を見つめていた。
その沈黙の時間はかなり長く感じた。

「どうして……」

 やっとエスラールが力なく呟いた。

「君は悪くない」
「ならどうして」
「私とわかれてほしい」
「ヴィゼルに何か言われたのか」
「いいや。違う」

 少し間を置いてからエメザレは続けた。


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