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一度横になると起き上がるのに時間がかかる。上から押さえつけられた状態では、起き上がることも逃げることも、体を動かすことさえ不可能だ。

「何、考えてるんです」

エメザレは右手で抵抗したが、ジヴェーダは簡単にねじ伏せた。馬乗りになり顔を近づけて、獲物の匂いを嗅ぐ肉食動物みたいに、耳元から首のあたりに鼻を押し付け、耳元を愛撫するかのように熱くてアルコールの匂いがする息を吹きかけてくる。鼓動が早くなる。嫌な感覚。

「嫌だ……やめて、ください」

「騒いでもいいが、どの道お前、声出ないだろう」

エメザレの衣服をゆっくりとしていく。拷問を受け傷だらけになった身体は、切った体をもう一度無理やりくっつけたかように、縫合された継ぎ接ぎの醜い痕が幾筋も残っている。綺麗な皮膚などほとんどない。

晒された身体を月明かりに照らして、ジヴェーダはうっとりと鑑賞していた。

あの宮廷の時とは明らかに違う手つきで、ジヴェーダはエメザレの胸を撫でた。縫合された傷口に沿って指を這わせる。他の場所とは明らかに違う痺れた感覚がする。

「嫌だ……見ないで……見ないで……見ないで。私を……見ないで」

右手で振り払おうとするが手首を掴まれた。敵わないのはわかっているが抱かれるのが嫌だった。想像するだけで自分でもぞっとする。

こんなにも醜いのに更に醜い行為をされるのが嫌だった。醜さの塊になりたくない。涙が溢れだした。

またみんなが軽蔑する。こんな姿になってまで、まだ男に抱かれていると嫌悪する。

あのたくさんの悪い眼差したち。もう堕とさないで。これ以上、私の全体を悪いもので覆わないで。私はしたくないやりたくない。私の意思じゃない。私は悪くない私のせいじゃない。

「もう、離して、離して! 嫌、嫌……やめて……やめてください。お願いします……ジヴェーダ様!」

全身で抵抗を試みたが馬乗りのジヴェーダは全く動かない。

「お前が誘って来たんだろうが。抱かせろよ」
ジヴェーダはエメザレ足を強引に開かせて割って入ると股をまさぐった。包み込んでくるその手は意外にも温かかった。なんて、なんて懐かしいんだろう。触られて思わず身体がびくりとした。

「……同情か、なんかですか」

「同情? 勘違いするな。俺は傷ついて死にそうな奴を見ると欲情するんだよ。いいから早く股開けよ。あの時みたいに」

すでに硬くなっているものを誇示して、服越しに押し付けてくる。その熱を入り口が感じると離したくないみたいに、食いつきたいみたいに収縮して悲しかった。

傷口をこじ開けるように熱がエメザレを侵略しようとする。忘れようとしていたあの感覚。あの温かい赤いあの粘膜の融合。醜くて尊い。いつもエメザレを狂わせる、残酷な救いのような融合だ。

わからない。でもすがりたくなってずっと泣いている。

「お前は何も悪くない。お前は俺に強姦されただけ」

ジヴェーダは微笑んだ。
 もういい、と思った。もう犯されるんだから、それならばせめて、せめて、何もわからなくなるくらいに、めちゃくちゃに破壊してくれ。

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