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 とにかくミレベンゼのやり方は不潔に見える。ひと様の尻の中を洗うというのは、けして積極的にやりたいことではなかったが、精神衛生上、自分でやった方がいくぶんかマシに思えた。

「エメザレ、ゆ、指、入れるぞ」

 エスラールは片手でエメザレを支え抱き、片手を陰部に持っていったが、いざ指を入れようとすると、変な緊張のような恐怖心のようなものがこみ上げてきた。
 この指が、もし自分のケツに入ってきたら、と考えると怖い。絶対に痛い。もし、中を引っ掻いて傷つけてしまったら。血が出てきたら。そんなことばかりが頭をよぎり、指が勝手に震えてしまう。

「おいおい、童貞くんよ、大丈夫かよ」
「大丈夫だよ!」

 意を決して、エスラールは二本の指をエメザレの中に優しく入れた。びくっとエメザレの身体がそれに反応する。エスラールの心臓は高鳴り、冷や汗が出てきた。

 中はとても暖かい。いや、暖かいというよりも熱い。温めたジャムの中に指を突っ込んでいるみたいだと思った。身体は冷え切っているのに、まるでそこだけに熱が集中しているかのようだ。中の壁が指にまとわりついて、締め付けてくる。指が中で一体化し、溶けてしまいそうな気がした。

「童貞くん、ほら指、動かして。こうだよ」

 ミレベンゼは二本の指を曲げて掻き出す真似をする。エスラールはその通りに中で指を動かした。

「く……ぅ、ん」

 エメザレが身体をしならせた。

「ちょ、変な声出すなよ」

「だから言ってんじゃんか。勝手によがるんだって。ほら指、休めない。こう、下に押すみたいな感じで、穴を広げて出すの」

「……や、あぁ、あ、……も、っとぉ……」

 エメザレは上目遣いをしながら、エスラールの胸にしがみついてくる。焦点の合っていない目は涙で潤んでいて、腫れぼったくとろんとしている。緩く開かれた唇の隙間からは赤く濡れた舌が見えた。

 そんなエメザレを抱き、そして今、エメザレの中に指を突っ込んで動かしている。でも犯しているわけじゃない。

 だが、理性が段々と麻痺していくのがわかった。エメザレを抱きたいと思う気持ちが、もう少しでわかってしまいそうになった。なんだかエメザレが女のような気がしてきたのだ。



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