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「この薬、凄いだろう。エロバカのシクアス種族から買ったんだよ。セラインというらしい。高かったなぁ」

 弄ぶように服の上からゆっくりと腹の辺りをなぞられて、堪らずに背中がしなる。

「く、……っん……」
「私はね、君のような奴が嫌いなんだ」

 首に激しく男の指が食い込んできた。息ができないが、全身が感じているのは苦痛ではなく、はっきりとした堕落そのもので、血管が苦しそうにヒクヒクと鼓動するのに合わせ、射精する時のように全体が震えた。

「君は我々の傷を呼び起こす。君のことを調べたよ。君は大護院時代に多くの教師と寝ていたそうだね。きっと可愛く誘ったんだろうね。可哀想に。彼らは甘美たる少年の味など忘れ去りたかっただろうに。この惨めな気持ちなんて、君にはわからないだろうね……」

 力ない悲しそうな声とは真逆に首を絞める力は強まり、息をしようと口を開けると、温かい唾液が滴って顎や男の手を濡らした。男はこぼれた唾液を舐め尽すように首筋や唇に舌を這わせてくる。荒々しく口腔を犯され大量の唾液が混じりあい、口の中で異物のように泡だって、それがいつしか表しようもない恍惚に変化している。

「私は誤解されている。私は美しい少年が好きなのではないよ。駆逐したいほど憎んでいるんだよ」

 唐突に首から手が離れたが、息をする暇もなく、すぐ乱暴に押し倒された。タイが外され、上着のボタンが丁寧に開けられていくのを、酩酊した意識の中で感じしていたが、抵抗しようにも身体が重ったるく、思うように動かない。

「ひどい噛み傷だ。あの風習は今でも健在、か」

 上半身がひんやりとした外気に侵されるのが、なぜか心地よい。男は晒されたエメザレの上半身を見て懐かしむような表情をした。

「……っん……や……ああぁぁ……」

 胸の突起に爪が突き立てられる。たったそれだけなのに、急激に盛り上がった絶頂の波が包み込んできて、身体の内部が酷く疼いて下半身の熱がさらに増した。
 男は無防備に横たわるエメザレの胸から腹にかけて悪戯にそっと指を這わせ、ズボンの上から熱を帯びた場所をまさぐった。



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