7/9 「でもシマ先輩、くそ強いんだぞ」 「そう。確かに僕ひとりでは無理だった。けどエスラールと二人なら、たぶん、すごい苦戦するかもしれないけど、勝てる可能性はあると思う。君たちがその他のロイヤルファミリーをひきつけてくれていれば、僕たちはシマ先輩に集中できる。問題は君たちがどの程度攻撃に耐えれるかどうかだ。最悪鬼ごっこみたいに逃げ回ってくれててもいいけど、もちろん捕まったらボコボコにされるのは覚悟してもらわないと」 「勝てる自信あんの?」 フェオの言葉にエメザレは悲しそうに首を振った。 「わからない。シマ先輩、強いから。二人でも無理かもしれない」 「だって俺ら、負けたら悲惨も悲惨だぞ。お前らは一号隊だからいいだろうけど、こっちはそのことで、今後どんだけ惨めなことになるか……。負けたときのリスクが大きすぎる」 悩んではいるようだが、踏ん切りがつかないらしい。なんとなくこういうところが駄目な気がする。 「僕、恐いよ。犠牲者になりたくないよ」 やさしい顔の彼は目に涙を浮かべていた。 「まだお前って決まったわけじゃ……」 フェオの慰めの言葉は力なかった。誰もそうとは言わないが、彼が次の犠牲者になることを、皆、感じ取っていたのだ。エスラールもなんと言えばいいのかわからず、黙り込んだ。まるで葬式のような空気になる。 「エメザレみたいな目に合ったら、僕死んじゃうよ」 その空間の残酷さに耐えられなくなったのか、彼は泣き出してしまった。 「死ぬなんて言うなよ!」 [*前] | [次#] しおりを挟む モドルTOP |