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「でもシマ先輩、くそ強いんだぞ」

「そう。確かに僕ひとりでは無理だった。けどエスラールと二人なら、たぶん、すごい苦戦するかもしれないけど、勝てる可能性はあると思う。君たちがその他のロイヤルファミリーをひきつけてくれていれば、僕たちはシマ先輩に集中できる。問題は君たちがどの程度攻撃に耐えれるかどうかだ。最悪鬼ごっこみたいに逃げ回ってくれててもいいけど、もちろん捕まったらボコボコにされるのは覚悟してもらわないと」

「勝てる自信あんの?」

 フェオの言葉にエメザレは悲しそうに首を振った。

「わからない。シマ先輩、強いから。二人でも無理かもしれない」

「だって俺ら、負けたら悲惨も悲惨だぞ。お前らは一号隊だからいいだろうけど、こっちはそのことで、今後どんだけ惨めなことになるか……。負けたときのリスクが大きすぎる」

 悩んではいるようだが、踏ん切りがつかないらしい。なんとなくこういうところが駄目な気がする。

「僕、恐いよ。犠牲者になりたくないよ」

 やさしい顔の彼は目に涙を浮かべていた。

「まだお前って決まったわけじゃ……」

 フェオの慰めの言葉は力なかった。誰もそうとは言わないが、彼が次の犠牲者になることを、皆、感じ取っていたのだ。エスラールもなんと言えばいいのかわからず、黙り込んだ。まるで葬式のような空気になる。

「エメザレみたいな目に合ったら、僕死んじゃうよ」

その空間の残酷さに耐えられなくなったのか、彼は泣き出してしまった。

「死ぬなんて言うなよ!」



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