11/11 「ごめんごめん。反王家勢力のことは朝言おうと思ったんだよ。それにもう隠してることはないよ。あれが僕の切り札だったんだ」 「ねえ、今思ったんだけどさ、犯人ヤミじゃない?」 唐突に思ったので、エスラールは唐突に言った。 「違うと思うよ」 エメザレは断言したが、エスラールはひらめいたことを一応言いたかった。 「だってさ、サディーレが部屋に戻ってから、ユドが来るまで三十分あって、その間に殺されたってことだろ。部屋に入ることができたのはヤミしかいないじゃないか。それに、サディーレには劣るとはいえ、ヤミは弱いわけじゃないんでしょう。動機だって、隣人トラブルとか有り得そうじゃん」 「最初は、ユドより月男くんのほうが疑われてたんだよ。僕もそれは考えたけど、長椅子に座っている月男くんをみんな目撃してるんだよね。月男くんは長椅子から動いてないんだ」 「じゃあ犯人誰なんだよ!」 エスラールは立ち止まってわめいた。 「それがわかったら苦労しないよ」 困ったような顔をして振り向き、エメザレはもっともなことを言った。 「これからどうするんだよ」 「とりあえずユドが属していたグループに話を聞きにいく。後はサディーレの子分に。そこで日記帳の手掛かりが見つからなかったら、僕もどうすればいいかわからない」 エメザレが大きなため息をついた。エスラールはそんなエメザレの顔を見ていたが、背後からやってくる人物に気付いて、一瞬呼吸するのを忘れた。 「シマ先輩」 エスラールの台詞を聞いたエメザレの顔色が変わった。 [*前] | [次#] しおりを挟む モドルTOP |