6/11 「はぁ!? 俺、聞いてないんだけど」 「うん。言ってないからね」 エスラールが叫ぶとエメザレは涼しい顔でそう答えた。 「言えよ!」 「それは本当ですか?」 エスラールが突っ込むのとほぼ同時に、月の男が食いついてきた。 「本当だよ。話をきかせてくれたら教えてあげる」 食いついてきた月の男を見て、エメザレはちょっと悪な顔をした。 「なぜ、お前が反王家勢力のことを知っているのですか?」 「僕は事件が起きる少し前にユドと話をしているんだ。その時は気付かなかったけど、改めて思い返してみたら、反王家勢力のことを言っていたんだと気が付いた」 「だから、早く言えよ……」 エスラールは悲しみと怒りを噛みしめて言った。 「わかった。聞きたいこととはなんです?」 月の男は覚悟を決めたように浅く息をつくと、腕を組んで聞いた。 「君はサディーレの遺留品を見ることができたよね? 遺留品の中に、サディーレの日記帳がなかった?」 「日記帳? いや、そんなものはありませんでしたよ。なんですか日記帳って」 [*前] | [次#] しおりを挟む モドルTOP |