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「次はどこ行くの」 
「内偵のところへ行く」
「ちょ、え、内偵? 内偵って反王家勢力を探ってる奴のこと?」

 内偵を知っているとは聞いていない。エスラールは驚いて聞いた。

「それ以外に誰がいるのさ」
「誰か知ってるの?」
「知ってるというか、わかったんだよ」
「どうやって!?」

「いや、あれ、サイシャーン先輩の話聞けば、二号隊だったら誰でも内偵は誰かすぐわかったと思うよ。だって何度も総監に呼び出されてる奴、一人しかいないもん。事情聴取にしても、毎日何度も呼ばれてるから、少し変だなと思ってたんだ」

 エメザレは自身の言葉に納得するように、何度か頷きながら言った。

「で、誰?」
「月の男ってやつだよ」
「月の男?」

 エスラールはもちろん知らない。名前も聞いたことがなかった。

「いつも月を見て祈ってるからそんなあだ名がついたんだよ。僕は月男くんって呼んでるけど。そいつが内偵だよ。同時に事件の第一発見者であり、そして押収品の日記帳を読めそうな立場にいる唯一の人物だ」

 エメザレは、さきほどのエスラールを真似るように、エスラールをびしっと指差した。




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