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「会ったときから、その瞬間から、たぶん好きだったと思う」

 エスラールはもう一度言った。ヴィゼルに対してというより自分に確認していた。
 ヴィゼルが信じられないというような、やっぱりというような、複雑な表情をしてしばらく固まり、そしてエスラールの胸から飛び退いた。

「最低だ! もう、エスラールのバカーーーーーっ!」

 と言って、ヴィゼルは大量の汁類を撒き散らしながら走っていってしまった。
 追いかけたいとは思ったが、殺人事件の解決をないがしろにするわけにはいかないし、お互いしばらく頭を冷やす時間が必要だろう。

「すまぬ。ヴィゼルよ。愛の友よ」

 ヴィゼルのことが気になりながらも、エスラールはエメザレの後を追った。
 さてエメザレは二号寮のどこへ行ったのか。探すのが大変そうだ、とため息をつきサロンを出ると、そのすぐ脇にエメザレが立っていた。

「待っててくれたのか」
「だって一緒に行くってエスラールが言ったから。それに怒られたくないし」
「話、も、もしかして聞こえてた?」

 サロンは広いが、障害物がないので声がよく通る。エスラールは微妙に震えながら聞いた。



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