9/9 「助けようとか、一緒に協力してなんとかしようとか、思わなかったのかよ」 「そういう気持ちとは全然別だ。こっちは自分のことで手一杯なんだよ。あんたにはわかんないかな、そういうの。あんたは強そうだもんな」 理解してもらえないだろうと思っているのだろうか。ミレベンゼは諦めたように息を吐いて言ってから、最後に鼻で笑った。 「俺だって結構手一杯だぞ。この顔面見ろよ」 「本当にひどい面だな。あんた」 失礼なことに、ミレベンゼはエスラールの顔を見て噴出した。 「笑うなよ」 「悪い悪い。じゃ、今度こそ帰るよ」 「教えてくれてありがとう。お前、案外いい奴だな」 「俺はあんたのそういうキモイところが嫌いだ」 ミレベンゼは減らず口を叩いて、にんまり笑うと帰っていった。 部屋に戻るとエスラールはベッドにダイブした。もうくたくただ。 急速に薄れいく意識の中で、エメザレに黙って過去をほじくってしまったのは、いけなかったと思った。本人に直接聞けばよかったと少し後悔した。 [*前] | [次#] しおりを挟む モドルTOP |