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「奇妙なのはここからだ。エメザレは半年後、またシマ先輩の下に戻ってきたんだよ」
「それってつまり、シマ先輩に自らいじめられるようになったってこと?」

「そう、まあ平たくいえば自ら性奴隷に成り下がったって感じか。その理由は誰も知らないし、わからない。あんなに努力して自由になったっていうのに。頭がいかれたとしか思えねーだろ? 今じゃ、シマ先輩の愛の欠片もなさそうな容赦ない抱き方が恋しくなって戻ってきた、ってことになってるけどな。エメザレがおかしくなったの、その頃からだ。想像できないような、ひどいことされたのかもな」

「想像もできないほどひどいこと、か。なんだろうな、それ」
「さぁ。でもシマ先輩ならそういうことができそうな気がする」

 ミレベンゼが呟くように言った。もっともだと思った。シマならば簡単にひとの心を壊せるだろう。なにも言わずとも、ことによればなにもせずとも、あの顔でじっと見つめるだけで相手の精神を破壊できるかもしれない。

「エメザレとシマ先輩は付き合ってたの?」
「いや、違うと思う。傍目から見るとそんなふうにも見えるけど、違うらしい。あくまでも隷属だよ」

「ところでお前、ずいぶんエメザレのことを見てたんだな」
「あ、ああ。仲間意識とは違うが、同じ弱者としてエメザレの行動が気になってたんだよ。だから遠目で見てたんだ」

 いくぶん、ばつが悪そうにミレベンゼは言った。



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