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「あ、あぁ……ん、やぅ……」

 誰かが、身体の奥を突いている。もう誰が誰なのかわからない。ありったけの快楽を貪ろうとしている。身体にヒルが集っているみたいに、あらゆる場所が鋭く痛む。異教の儀式のように、色々な奴らがよってたかって自分を噛んでいる。腕や足や、横っ腹や性器の周りを何度も笑いながら噛んでいる。誰かが胸の突起を噛んだ。痛い。痛いのだが意識が混濁して不快をうまく処理できない。突かれている心地よさが、痛みを曖昧にしてしまう。ペニスが尻から抜かれると、全身が痛くなることを本能が理解していた。自分を犯しているペニスを逃がすまいと、尻の筋肉はすがるように、必死に締め付けている。

「あ、やばい、いく――」

 自分の中で絶頂を迎えた誰かのペニスがしぼんでいくのがわかった。快感は死に絶え、噛まれている痛みが鮮明になり、官能が消え去って恐ろしい理性が蘇りそうになった。

「やめないで……、もっと入れ――て、つ、いて、突いてよ……はやく、ぅ。痛い。痛い。痛いよ」

 その声は雲って聞こえた。自分の声のはずなのに、まるで布でも押し当てられているような、聞きなれない声だった。

「ほら。どうだ、気持ちいいだろ」

 誰が言っているのだろう。いや、誰でもいい。誰かのペニスが中に入ってくると堪らなく愛しくて、だらしなく開いた両足を痙攣させて喜んだ。

「あぁ……っん、あぁ!」

「なぁ、お前これからどうすんだよ。こんな身体でさ。知ってるぞ。お前、眠れないんだって?」

 中のペニスはとても硬くて力強い。激しく抜き差しされると、身体が熱くなって、芯から崩れそうになり、痙攣が止まらない。口を閉じるのも忘れ、しどけない口元から唾液が流れ落ちた。



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