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「そうだよ。やれよ」

「恥かしがってどうすんだよ。いつも、もっとすごいこと言ってんだぜ」

「嫌だ……。嫌だよ。そんなことしたくない」

 気分が悪い。今からこいつらのペニスをしゃぶらなくてはならないのだ。足を広げて、犯されて、動物みたいに喘ぐのだ。一体自分はなんのために生まれてきたのだろう、と詩的な哲学が頭の中で何度も回帰する。こんなことをするために生きているのではない。だが拒絶する資格がないのだ。
 それにどうせ、嫌なのは最初だけで、途中からは好きも嫌いも感じなくなる。

「なに涙目になってんだよ。今更、処女ぶったってな、お前のケツ、やりすぎて緩いんだよ。知ってんのかよ。くそ淫売が。あんあん言いながら犯されてればいいんだよ」

 そう、自分は淫売だ。わかっている。数え切れないほど淫売だと言われた。だがその言葉を浴びせられる度、無気力と脱力感に苛まれ、全てどうでもいいという気持ちが、静けさとともに、すぅっと広がっていくのだ。

「もたもたしてないで早く脱いでやれよ」

 ミレーゼンがにやけた顔をして言った。

 ふと遠くに目をやるとシマがこちらを見ていた。なにを考えているのかわからない。こんな自分の姿を見て、楽しいのだろうか。でも表情は見えなかった。

 エスラールに貸してもらった制服のボタンに手を掛けた。エスラールの制服からは心地のいい香りがした。素敵な体臭だ。初夏の瑞々しい草の香りに似ている。これを着ていると守られているような気分になった。きっといいひとなのだろうと思う。でなければこんなに素敵な香りはしないだろう。汚いことを知らない匂いだ。自分の制服からはどんな臭いがするだろう。たぶん、精液の臭いだ。色んな奴の精液が混じりあった邪悪な臭いがするんだろう。

 エメザレは制服を脱ぎ捨てた。言われたとおり、四つん這いになり、ミレーゼンに尻を突き出した。

「ぼ、僕の……僕のおまんこ、ぐちょぐちょに……して、ください……」

 そう言った瞬間、複数の手がエメザレの身体に伸びてきた。



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