8/14 「伝統なんて、ただの過去への敬意だ。昔よかったものが、今もいいとは限らない。もっといい手段を考えるべきです。お願いします。最後だから言うんです」 エメザレは大きく言ったが、それでもシマは動かなかった。 「あーうっぜ。まったく、口だけは達者だね。チンコ突っ込まれたらよがることしかできなくなるくせにさ。素面のときだけいい子ぶりやがって。くだんねー」 ミレーゼンはシマに見せ付けるようにして、エメザレを後ろから抱きしめたまま、頬に舌を這わせた。シマのご機嫌取りのつもりなのだろうか。そんなことをして見せたところで、ご機嫌がよくなるとは到底思えないが。エメザレは苛立った。 「僕はシマ先輩に言ってるんだ。ミレーゼンは黙ってろ」 「先輩がなんも言わないってことは、知らねーよ、クズ、黙れ死ねってこと。それよかお前、今日は思いっきり可愛がってやらなきゃなぁ。最後だと思うと残念だ。お前の綺麗な眼球に先っぽ押し付けるのが最高に楽しかったのにさ」 ズボン越しに、ミレーゼンの硬くなったペニスが押し当てられた。くっきりとした形がわかり、感じているわけでもないのに、勝手に身体が痙攣する。そんな自分に失望して悲しくなった。 「宴会がなくなれば、君も弟の心配して、ド派手に誰かをぶち犯さなくてもよくなるんだよ。毎日キャラ作ってお疲れ様」 エメザレは精一杯、皮肉ったが、なんだか滑稽なほど身体が熱くなっている。 「ミレベンゼのことは、今は関係ないだろ。強がっちゃって、可愛い奴。もう疼いてんだろう。今、ヒクついてたの、わかったよ」 見透かされたことが悔しくて、ミレーゼンから逃れようともがいたが、ミレーゼンの腕はなかなか離れない。 「僕は伝統を壊してる。弱者を犠牲者に選ばなくても、ちゃんとロイヤルファミリーの権威は保ててるじゃないですか。宴会が権威の全てを作ってるんじゃない。なくってもロイヤルファミリーは機能します。僕にはこれ以上壊せない。そんな威厳や信用を持ってない。でもシマ先輩、あなたなら壊せるはずだ」 「お前、しつこいんだよ」 ミレベンゼがエメザレの髪を引っ張り上げた。 [*前] | [次#] しおりを挟む モドルTOP |