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「動機も不明。というか、なくはないんだけど、いまいち弱い感じ。ユドは落ちこぼれだからイジメの対象だったんだけど、でもそんなの大護院時代からずっとそうだし、なんかユドも諦めてたみたいだし、どの程度のイジメだったのかは知らないけど、でも僕みたいな目に合ってるとは思わないな。その上、サディーレに特別苛められていたわけでもない。サディーレはユドを苛めていた大勢の一人に過ぎなかったんだ。だからなぜ、わざわざ自分より圧倒的に強いサディーレを殺そうとしたのかわからないし、そもそもどうしてサディーレの部屋を訪れたのかも不明だし、とにかく気になることが多くて。それでなんで僕が転属って話になるのか、全く関係性が見えてこない」 

「エメザレは二人とは仲が良かったの?」

「いや、全然。サディーレとは何度もやったよ。宴会のときにね。でもそれだけで、色恋うんぬんというのは全くなかった。色恋というなら、そういえばユドには一度好きだと言われたことがあったかな。二年位前に」

 エメザレは顎に手を添えて、ふと思い出したというような顔をした。

「で、どうしたの? 付き合ったの?」

「まさか。僕は誰とも付き合うつもりないからって返して、それ以上ユドもなにも言ってこなかった。セックスもしてない。たぶん。記憶が曖昧だからしてる可能性もあるけど、でもたぶんしてないと思う。宴会以外ですることってあんまりないし、ユドには宴会に参加する資格がないからね。宴会はロイヤルファミリーでないと参加できないんだ。だから二人と僕はほとんど他人だよ」

「なるほど。つまり、なんかよくわからないってことか」

 エスラールは勢いよく後ろに倒れて、ベッドに仰向けになった。
 それにしてもエメザレのセックスの価値観というやつはどうなっているのか、色々と物申したいところだったが、口論になるのが嫌だったので、あえて流すことにした。

「そういうこと。考えれば考えるほど変なところがでてきて、謎は深まるばかりだよ」

「でも総隊長は殺人の原因はエメザレだって言ってたよ」

 と言ってしまってから、エスラールは言わなければよかったと後悔した。単純に謎の解決に役立つだろうと思ってつい言ってしまったのだが、本人に向かって事件の原因はお前だよと言うのはどう考えても残酷すぎる。エスラールははっとして飛び起きた。



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