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「これで訓練に出るのは勇気がいりますよね。だから仕方なく三本タイで隠してるんです」

「そうだ、薬を塗ってあげよう。治りが早くなると思うから。上を脱いで」

 さも当然と言わんばかりの顔つきで先生は言ってくる。医務官なので正当性はあるのだが、それ以外の理由も含まれているのは明白だった。
 先生はベッドの向かいにある薬品棚から小さい壷を取り出した。

「でも、先生……」

「いいから、恥かしがることはない。脱ぎなさい」

 優しい口調で命令すると、先生は壷を足元に置いてエメザレの制服のボタンに手を掛けた。

「僕の身体、汚いから……」

 逃げるように少し身を引いたが、先生の手は離れなかった。

「そんなことない。君は綺麗だよ」

 甘ったるい言葉を恥かしげもなく囁いて、強引なのに優しさを失わない手つきでボタンを外していく。されるがまま、おとなしくしていると先生は全てのボタンを外して、上着を脱がせた。

「この痕、痛い?」

 あらわになったエメザレの上半身を、愛撫するかのように指先を這わせて先生は聞いた。

「強くされると、少し」

「これは? 痛い?」

 乳首のすぐ脇につけられた、一番新しい鬱血紺を先生は強めに押してくる。鈍い痛みが走ってエメザレは身をよじった。

「痛っ。痛いです、先生」

「ごめんごめん。じゃ、ここに塗ってあげる」

 先生は楽しそうに笑うと壷の中の塗り薬を人差し指ですくって、乳首すれすれの箇所にねっとりとした薬を塗りこむ。

「……ぅ、ん」

 やんわりと乳首もなぞられて、エメザレは肌が粟立つような感覚に襲われた。身体が勝手にびくつき、その先への期待に打ち震えている。それが恥かしくて顔が熱くなった。先生の指先から逃れようと後退しかけたとき、ふいに先生がのしかかってきて、気が付くとベッドに押し倒されていた。先生は優美な顔を近づけてくる。

「僕の気持ちに気付いているんでしょ? ねぇ、今日は一日休んでていいから、いいでしょう?」

 先生は馬乗りになってエメザレを押さえつけながら、耳元で甘い擦れた声を出した。先生の顔は変わらずに優しげで、微笑んではいたが、エメザレの手首を掴む力はかなり強く、本気であることがわかった。

「先生、お願いがあるんですけど」

 抵抗する気がないと伝えるように、エメザレは冷静な声を出した。



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