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エスラールは下着一丁、しかもエメザレは全裸だ。そんな二人が同じベッドの上にいれば、勘ぐりたくもなるだろう。いや、相手がエメザレでなければ、特にどうという状況でもないのだが、エメザレなのがまずい。潔癖なヴィゼルはショックで死にかねない。
「うげっ!」
エスラールは慌ててエメザレのベッドの上から飛びのいた。
「きゃあああああああああああああああああああああ!!!」
が、もう遅かった。ヴィゼルは断末魔のような叫び声をガルデン中に響かせ、煙が出そうなほど顔を真っ赤にして、後ろにぶっ倒れた。
「ヴィゼルよ! 友よ! 大丈夫か! こんなところで死ぬな、死ぬんじゃない、死なないでくれ! ここで死んだら生まれてきた意味がわからんぞ!」
エスラールは瀕死のヴィゼルに駆け寄ると抱き起こし、容赦のない激しさで揺さぶった。
「……エ、スラー……ル。僕はもう駄目だ……。い、いったい、どうなっているのだ。君はもしや、昨晩エメザレに童貞を奉納してしまったのか……」
ヴィゼルは首をぐわんぐわんと揺らしながら、死ぬ間際の兵士のようにエスラールに片手を差し出してきた。
「安心しろ、ヴィゼル! 俺の童貞はちょっと危うかったりもしたが、確かにまだ無事だ!」
差し出された手をしっかりと握り締め、エスラールは涙を滲ませて叫ぶ。
「危うかったとか、なんか怪しいんだが……」
「俺は股間的な意味で突っ込んでもいないし、突っ込まれていもいない! あくまで股間的な意味でだが。これを童貞と言わずしてなんと言う! そうとも、俺は声高らかに言える。俺は正真正銘、絶対的、正確無比な純度百パーセントの童貞であると!」
「……本当か。本当に無事なのだね。よかった……。これで安心して死ねる」
ヴィゼルは瞳を輝かせ、安心したように微笑み、エスラールの腕の中でそのまま死にそうになる。
「ああ、喜べ。無事だから死ぬな! 生き返れ!」
「そういえばエスラールよ。君たちは昨日の夜中に二人そろって、どこに行ってたんだい」
ヴィゼルの声が生き返り、少しだけ真剣になった。
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モドル