・フォスガンティの手術費用
ラルグイムでの性転換手術費用はだいたい50億円くらいです。ハリウッドセレブが億単位の費用をかけて肉体改造する昨今、中世程度の文化水準しかない世界でほぼ完璧な性転換をするにはそれくらいかかるんじゃないかと思ってそんな感じにしました。
なんでそんなに費用がかかるかというと、とりあえず手術できる技術を持っているのはモート種族だけで、ラルグイムにモート種族は、特に高度な手術技術を持ってるモート種族は、片手で数えるほどしかいないからです。モート種族は手術で使用する器材を全て持ってきているわけではありません。モートの国では普通にある物(例えば精巧なメスやらシリコンやら注射器、モルヒネなど)もないので小さな工場を作って一から作らなければなりません。その費用が膨大です。
さらにモート種族は亡命してきた人々であり、後で説明しますが自国から常に命を狙われています。あまり有名になると暗殺される危険があるので表には出てきません。手術をするということになれば、それだけ自分の存在が明るみに出るということですから、相当の金額を積まないと了解してくれません。つまりモート種族に手術を頼むには、命と引き換えてもいいくらいのお金と、モート種族と繋がりを持っている顔の広い人物が必要になります。そんなわけでめっちゃ凄いパトロンがいない限り、普通の男娼が性転換するのは無理なのです。
ちなみに手術はラルグイムの国内で受けられます。
で、手術の手順はと言いますと、まず玉と竿を切開して中身(組織)を取り出し皮だけの状態にし、尿道と肛門の間に穴を開けて、その穴の中に皮を折り込みます。そして亀頭(竿の先)を小さく切り取り、陰核(クリ)を作ります。尿道は短く切って固定します。折り込んだ皮膚を縫合し、陰嚢(玉袋)を利用して大陰唇(外のビラ)・小陰唇(内側のビラ)を形成して出来上がりです。


・完全鎖国のモート種族
モート種族は鎖国状態にありますが、それは国の方針であり、外国に行きたいと思っている人々は案外多かったりします。ちょうど都心のごみごみした空気が嫌になり、田舎へ行きたくなるように、あるいは高度である種機械的な日本に嫌気が差して、アフリカの大自然を感じてみたくなるように、です。
ただし、亡命しようとしているのがバレたら捕まってしまいますし、一度出るともう自国に帰ってこれません。モートの国には「ジャグ」という機密監視機関があり、ただの一般人が前述の理由で亡命する分には(銃などを持ち出さない限り)そんなに危険でもないのですが、国の重役、上層の軍人、学者、医者が亡命した場合、ジャグの暗殺部隊が国境を越えても追ってきます。だいたいこの手の職業で亡命をする人は、国が禁止している(高性能の銃とか化学兵器とかの)研究をしたがっているからです。
そして運良く他国へ逃げられても、研究室を一式持ってこられるわけが無いので、調達できないものは自分で作るしかありません。ゆえにモートの国で研究するのとは比べ物にならないほどの費用を費やさなければ、同レベルの研究はできないのです。仕方ないので自分達の知識や技術を売り物にします。その典型が性転換手術なわけです。
亡命したモート種族は大抵シクアス語圏に隠れて住んでいます。シクアス語圏にはシクアス、エクアフ、ダルテスが共存しているので、容姿や考えが違う人間が隣にいることに慣れていますし、シクアスは友好的な種族で新物好き、商売がうまくお金持ちも多いので、ビジネスパートナーとして最適なのだと思います。