何故か家に居て健康な兄さんと京介の奮闘

 兄弟だ、なんだと今まで考えてきたが今更なんだと言う事になり、今や堂々とお付き合いをしています。どうも、剣城兄弟です。
 長年居ますので、もちろん手も繋ぎましたし、ちゃんとお付き合いしてからはキスも致しますだ。そうですね、あとは、あれだけでしょうか。

「よ、よし、今日こそするぞ」
「あ、ああ」

 カーテンも締め切った部屋の中、優一と京介はベッドの上に正座で座り向き合っていた。
 今日は酷い豪雨だった。そんななか剣城の両親二人で仕事で遠出して今日付けで帰ってくる予定だったのだが、雨で危険だからとあちらに泊まることになった。両親がいない時など珍しいが、変わらず兄弟仲良く一日を満喫したのだが、彼らの関係にはもう一つの名がある。いわゆる恋人同士であることだ。
 もう罪悪感から抜け出したと言っても、さすがに二人は両親に自分たちの関係を言えずに兄弟として過ごしている。だからこそ家が一緒でも、触れ合う時間は全く無いに近かった。それなので、二人が出来たのはキス程度だったのだが、やはり二人も進展が欲しい。そう、今日はチャンスなのだ。

「兄さん、あれは買ってきたのか」
「ああ、ちゃんと買ってきたよ! 京介の体に負担は掛けさせられないからな。」

 そう言いながら出したのは、薬局屋の袋だった。中には避妊具と軟膏が入っている。これを持って並びながら照れる優一の姿を想像して、京介は顔がにやけた。自分の為に恥ずかしながらもやり遂げる兄にときめく。可愛い、と言う代わりに優一の唇に噛み付いた。優一は驚きながらも、それに答える。

「な、なんだ、京介、積極的だな」
「俺から仕掛けないと、兄さんいつまでも手出さないだろ」
「…兄さんをバカにするんじゃありません」
 
 真っ赤になる優一の服を脱がせながら京介は色っぽく笑った。そうして、優一の首もとにキスすると、優一は肩を揺らす。反応してくれたのが嬉しかったのか、京介は体中にキスを始めた。自分のシャツも脱ぎ捨てると、ズボンにも手を掛ける。すると、優一がその手を止めた。京介が首を傾げながら優一を見ると、優一は不満気に京介を見ている。

「どうしたの、兄さん」
「何で京介がリードしてるんだ。」
「え、ごめん…?」
「いいけど」

 頬をぷっくり膨らませながら、優一は京介のことを抱きしめた。年上が、ましてや兄が弟にリードされるのはプライドが許さなかったのか。今までこんなこと言われたこと無かったので、優一も男なのだなと京介は思ってまた愛しくなる。
 途端、優一が京介のズボンを一気に脱がせた。京介もいきなり脱がされるとは思っていなかったので、目を丸くしてしまう。そしてベッドに押し倒され、舌が口内に忍び込んできた。口ですら追い付くのに必死なのに、下着に手を掛けられ半分パニックになってしまう。普段顔に出ないが思わず焦りが顔に出た京介から口を話すと、耳に口付け、不敵に笑った。

「兄さんをナメるとこうなるぞ、京介?」

 背中に電撃が走り、京介は固まる。こんなに色気がある兄を過去に見たことがなかったので、どう対応していいのか分からなかった。優一は今まで京介に合わせていたのだ。
そう思うと、自分の方がリード出来てると思っていたのが恥ずかしい。ついて行けていない京介を置いて、優一は後ろに手を掛けた。
 そこで、京介は優一の肩を押す。すると、京介の力が思いのほか強かったのか、優一は後ろに吹っ飛ばされた。京介がしまった、と思った時には遅く優一はベッドから転落する。急いで駆け寄ると、優一は頭を抱えながら顔を歪めていた。

「に、兄さん! 大丈夫か?!」
「うー、うん、大丈夫、大丈夫だから」

 そう言いながらも頭を摩っているので、京介も優一の頭をさすってみると、後頭部には大きなコブが出来ている。京介は息をのみ、優一に抱きついた。

「わああ、ごめん、兄さん! 大丈夫じゃないだろ、ごめん!」
「あはは、いいんだよ」
「良くない!」

 半泣きで優一に縋り付く姿は子供の頃に戻ったようだ。優一は京介の頭を撫でながら、笑いかける。

「いいんだ、俺こそごめんな。京介がついてきてないのに、止められなかった、大人気ないな。…あー、と、今日はもう寝ようか」

 自分がしたことを思い出しながら、優一は流石に意地悪し過ぎたかと思った。がっつくつもりはなかった、優しく入るつもりだった。京介がこんなにノリノリなど思わず、男としてリードされて、年上の余裕を見せ付けたかったのだが…。
 涙目の弟を見て、自制心が騒いだ。京介は一生懸命謝るが、謝らなければいけないのは優一のほうだ。
 片手に京介を抱えながら、寝る為にベッドを片付ける。みだれた布団が先ほどの京介を思い出させて下半身が疼くが、他の事に気を集中させた。すると、京介はやっと顔をあげて優一を見た。

「ごめん、兄さん」
「もういいんだよ、ほら服着て。今日は一緒に寝よう」
「…ありがとう」

 半分残念に思いながらも、凹む京介を見て可愛くてこれだけでもう十分な気がする。投げ捨てた服を取ろうと、優一が立つとその腕を京介が掴んだ。優一は極力優しく笑いかける。

「なんだ、どうした?」
「……」
「京介?」

 まだ反省しているのか、と心配しながら京介を覗き込むと唇に何かが触れた。柔らかい感触に、優一は瞬きをする。すると、京介が真っ赤な顔をして言うのだ。

「びっくりしただけなんだ、あの、俺もしたいんだ。だからその、今度は最後までしよう。愛してる、兄さん」

 フォローのつもりか、愛してるなど普段いわない事を途切れ途切れに繋ぐ。そんな京介に優一は笑ったままだ。京介が不安げに顔を見ると、優一は湯でタコのように、茹で上がっている。京介は優一の肩に手を掛けた。

「だ、大丈夫か?! やっぱり頭以外にどっか打ったんじゃ、きゅ、救急車ぁあ!」
「大丈夫だから、大丈夫だから、ちょっと待ってー!」


 救急車なんか呼ばれたら、恥ずかしくてそれこそ死んでしまう。優一は京介を止めながら、思うのだ。


 こうやって、最後まで致ことができなかった私たち兄弟ですが、変わらずラブラブなままでございます。
 そうですね、したいと言えば、まあしたいです。ですが、彼が居れば何でもいいんです。
 あ、のろけを聞かせてすみません。でも最後にいいですか。
 俺の弟が、世界一可愛い!




121210







 



 





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