いつになったら、俺は大人になれるんだろうと考えた。この考えだって、じゅうぶんな子供の考えであることは確か、なぜならば大人なら、こんな考えはしないからだ。
 だが、今、大人なら、とは言ったもののどんな考え方をすれば大人の考えと世間から見られるのかなど、俺にわかるはずもない。それでも知りたいと思ってしまうのは、やはり俺が子供だからなのだろうか。

「剣城は難しいことを考えるね」

 だらだらと、自分の論を述べれば、松風は言いように例えて俺に言った。俺は言いくるめられている感じがして、頭をふるう。松風は俺を見て、なんで、と呟いたがすぐに答えは見つからなかった。俺が言ってほしいのは、今の自分を認めてしまうような答えではない。子供な自分を否定してほしかった。
 だが、松風は黙って微笑むので、自分の幼さに恥ずかしくなる。自分のほしい答えをもらえないと、駄々をこねるのは子供だ。だが、ならば、なにが大人なのか。

「よくわからないんだよ。なんで、自分が大人を目指しているか」
「思春期だからじゃないかな」
「殴るぞ」

 真面目な答えもふざけたように言われてしまっては、殴りたくもなる。松風はまだ、笑うだけだった。
 実は、だが、俺が今聞いたことは自分でうすうす気付いてはいる。と、いうより気付くしかないのだと思う。
 へらへらと笑う松風、俺はこいつを大人だと思う。考え方や見た目ではなかった。ふと、した瞬間、俺は松風を尊敬した目で見ている。悔しい気持ちもあるが、どこか諦めがついていた。
 だが、ここで諦めてしまっては、隣にはいられないような気がした。それが、どうしようもなくいやだった。俺はこいつのとなりでサッカーをしたい。笑いたい。成長しあいたい。だから、きっとこいつに相応しい自分になりたいのだと考えるのかと思う。

「お前は俺の隣にいてくれるのかよ」

 つくづく自分は人任せな性格をしていた。隣にいたいならば、しがみついて離さなければ良いのに、それが情けない気がして、離さないでほしいと願っている。

「うん、いるよ。」

 一ミリすら不安をさせないような声で言うから、俺も甘えてしまうんだ、ちくしょう。膝を抱えて、松風を横目でみた。

「〜、なんかあったらどうすんだよ」
「なんとかなるさ!」

 なんとかなんてなんねーよ、あほ。
 でもこうやって、松風の言うことを信じたいと思う自分もまた、


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