「バクラぁ、バクラ……っ!! っ、あ……!」
自分の心と身体にぽっかりと空いた穴。
バクラだけを欲してやまなかったその場所が、望むもので埋められる。
心と身体が満たされていく感覚に、心臓が収縮して切ない音を立てた。
背中をぞわぞわと伝っていく快感は、頭の中で爆ぜて麻痺をもたらす。
「っ……、嬉しそうな顔しやがって……! 満足かよ……?
っ、んなに……、締め付けて来なくたって……、どこにも行かねぇよ、この淫乱……っ!」
「っ……、あ……、ごめんなさ、……っあ!
やっ、バクラぁっ、はっ……!!」
身体を抉じ開けられながら揺さぶられ、奥を突かれればそれだけで、瞼の裏が一瞬明滅する。
「嬉し……よ……、バクラと……っ、ちょっとでも、ひとつに、なれて……っ
あっ、私……っ、ほんと、あっ……、ほんとにっ、はしたなくて……っ、
ごめんな、さ……! あ……ッ、やっ、あっ、あっ、……っ!!」
「喋んな、もう……!
っ、桃香……っ!!」
「やっ、バクラっ、あっ……、あぁっ……!!」
手首をベッドに縫い付けられ、激しい律動に身体を揺らされれば、バクラの名を呼びながら淫らに喘ぐ事しか出来なくなるのだった。
「バクラ……っ、あ……っ!!
壊れちゃ、っん……! バ、クラぁ……っ!!」
ふと律動が止み手首が離され、上半身を少しだけ起こしたバクラが、自分自身の首筋に手を回して肩にかかる髪を払っていた。
息を呑んでその光景を見つめていると、バクラが眼を細め、不敵な笑みを浮かべながらこちらを見つめ返す。
「服なんかより、本物が欲しかったんだろ? 変態……
ククッ、いいぜ……!
今だけサービスしてやるよ……!!
好きなだけ匂いを嗅いでな……!!」
「っ……!!! バ、クラ……っ!!」
シャラリ、と千年リングが胸に落ちてきて広がった後には、艶やかな白銀の髪を片側に寄せたバクラの頭が下りてきて、そのまま私の顔の横で白い首筋を晒しながらベッドに沈んでいた。
「っ……!!」
繋がっていることによる興奮とは別の熱が、心臓をバクバクと高鳴らせる。
バクラはたった今、シャツなんかではなく、自分の匂いを直接嗅いで良いと言ったのだ。
息が止まった。
そして私は、思いだしたように深呼吸をすると、そっとバクラの首筋に腕を回し、その白い肌に顔を埋めたのだった――――
「んっ……」
怖ず怖ずと息を吸い込めば、バクラのほのかな香りが肺を満たす。
いつかのように、反射的にキュッと収縮した秘部は今、バクラと繋がっていた。
「変態、が……」
ぼそりと漏らしたバクラは、こちらに首筋を晒したまま再び律動を開始する。
「っあ……!! っ、あっ、あ……!!」
身体の隅々まで満たす切ない痺れ。
バクラが動くたびに淫らな水音が発せられ、羞恥と罪悪感が心に少しだけ滲んだが、そんなものは些細なものに過ぎなかった。
「っ、桃香……っ!!」
「あっ、バクラっ、……っ、ん……っ、……、
……は……っ、はぁっ、はっ、あっ、あぁっ……!」
バクラの匂いを肺に取り込みながら抱かれれば、火照りきって酸素不足に陥った脳が、あらゆる思考を完全に遮断したのだった――
「っ、気持ちいいかよ……っ?
犯されながら、匂いを嗅いで……!!
っ、つくづく、変態だぜ……っ、お前は……!
ハッ……、変態……、変態女……っ!!」
「や……っ、言わないで……!!
あっ、バクラぁっ、あん、あっ、ダメっ、あ……!!!」
最奥を何度も突かれ、犯されながらも、呼吸とともにバクラの匂いを嗅いで――
呼吸困難になりながら、呆れたように、時に吐き捨てるように、変態と詰られる事が、こんなに――
こんなに、熱を持つなんて――――
バクラの言う通り、私は淫乱で変態なのかもしれない。
でも、もはや止められない。
この劣情と、胸を掻きむしるような慕情は、身体の中を暴れ回って火花を巻き散らす。
「バクラ、バクラぁ……っ!!」
バクラの白い首筋は、立ち上る熱の中で僅かに色付き、ピタピタと吸い付くような引力を持っていた。
その蠱惑的な色香に堪らず、バクラの名を呼び縋りながら首筋に舌を這わせれば――
やがて白銀の頭が上がり、失われた首筋のかわりに熱い呼吸に唇を塞がれたのだった――
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bkm