シアワセネイロ7



「――んんぅッッッ!!!!」


潤んだ秘部にバクラ自身を打ち込まれる衝撃に、手の下で唇を噛んで何とか声を堪える。

声のかわりに弾けた熱が、瞬時に背筋を灼いて脳天をつんざいた。

「っはッ……バクラぁ……、っんんんッ……!!」

熱く滾ったバクラが躊躇なく、溶けそうなほど柔らかくなった肉を割ってナカへと沈んでいく。

「っっぁんんん!!!!」

やがてそれが奥まで突き込まれると、痺れるような電流が全身を貫いて頭の端が軽く明滅した。

意思とは関係なく漏れ出しそうになる声に、手で口を押さえるだけでは足りなくなり思わず指を噛む。


「ハ……
随分と余裕がねェようだな桃香サンよ……

夜は長いんだ……最後までオレ様を愉しませてくれよ……?」

「ふっ、んむぅぅんんん!!
んっ、うっ、ん……っ!!!」

「ヒャハハハ!!
せいぜいそうやって必死になって声を殺しておくんだな……!!
噛み切るほど強く指を噛み締めてな!!!」

「んんんっ!!! ぅっ、んっ、ぁうん、んっ……!!!」

次第に激しくなるバクラの律動が、身体の奥を抉って次々と淫らな劣情を生んでいく。


「んっ……はっ、あッ……!
はぁっ、はぁっ、あっ、や……!!」

苦しくて時折手の力を緩めると、堪らず溢れた恥ずかしい声が乾いた部屋の中に響いた。

「おらおら……声出すなっつったろうが……!
ちゃんと指を銜えとけよ……?」

「はぁっ、あ……むっ、んんんっ……! ん……」

再び噛んだ指が僅かに痛んだが、あられもない声が漏れるよりはマシ、とさらに強く歯を立てた。

「んっ……! ふ、ぅん……っっ
……んんんっ!!!!!
んっ、んんっ、ふっ、んんッッ!!!!」

バクラはこちらを嘲るようにまた深く奥を突き上げ、そのまま激しく腰を打ち付けていく。


「ん〜っ!! んっ……、んん……ッッッ!!!」

口いっぱいに指を頬張り歯を立てても堪えきれない嬌声が、傷となって指を徐々に傷つけていく――
だが今は、声を出さないようにするのが精一杯でそんなことには構っていられなかった。

必死に殺した声と漏れる吐息、そしてくちゅくちゅという淫らな水音と肉がぶつかり合う音が、僅かに漏れるバクラの吐息と混ざりあって溶けていく。

ぐちゃぐちゃになった頭はもはや役に立たず、視界は徐々に潤んでバクラの姿をぼやかせていった。

「……っ……は……、ん、く……ら……!
バ、ク、ラ……!!」

喘ぎをこらえて、唇の端から、その名を呼ぶ。

「っ……、は……
ンなに……、切なそうに呼んでんじゃ、ねえよ」

吐息と共に密やかに吐き出された言葉が、鼓膜を震わせて心臓を締め付ける。

「んんっ、んっ……!!!
……あっ、ぃたっ……! っは……!」

強く歯を立てた歯がとうとう、滑って肉を軽く裂いたらしい。
ジン、と走る痛みに思わず口の力が緩む。


「んぁッ……! はっ、や……あぁッ、ごめ……」

唇で傷口に吸い付くと、血の味がじわじわと口の中に広がっていった。

「チッ……」

軽い舌打ちとともに伸びてきたバクラの手に、銜えている方の手首を掴まれて払いのけられる。

「あっ……んんんッッ!!!」

手のかわりに噛み付くように塞がれた唇が、再び漏れ出した嬌声を飲み込んで溶かしていった。

千年リングが僅かにシャラリと音を立て、胸に落ちた金属のひんやりとした感触が広がる。


「んっ……ぁ、ば……んっ、ぁん、ん……!!!」

バクラの唇が、その存在が、堪らなく愛おしくて――絡まる舌に吸い付いて、唾液ごと飲み下す。

「ふぅ……ん……!!

す、き……!!」

膨張して溢れだした慕情が、離れていく時に口の端からこぼれ落ちていった。


「フン……、これでも銜えてな」

「んっ……!!」

バクラの白い指が千年リングをつまみ、そのままリングを私の口に押し込んだ。

ガチ、という固い感触が歯に当たって思わず口を開けると、完全にリングを銜える形になってしまう。

「ん、ふぅ……っ、んん……!!」


千年リング――バクラの魂が宿るモノ。


いろんな業をその内に宿す、バクラそのもの。


そのリングに、歯を立てて、あられもない淫らな声を殺す。


バクラの存在を司るモノをこんなふうに委ねられて――

口の中を支配する冷たいリングすら愛おしくなって、その曲線を舌でなぞって頭に刻み込んだ。


「んっ! ふ……っ! ん、んんんッ……!!!」

リングを口に銜えたまま、激しく最奥を突き上げられ、散り散りになりそうな激情の中でバクラの双眼を見つめた。

ナイフのような鋭さを持つその瞳が、揺らいでこちらを見つめ返す。


「ククッ……、リングにまで欲情したのかよ……っ?」

「んっ……、んんん……!!」

強くリングを噛み締めて、バクラの瞳から視線を逸らさずに目で訴え続ける。

言葉がなくても、届くように――――



「フ……、
よくわかってるじゃねェか……

今お前を犯してんのは宿主の身体……だがな、魂はオレ様なんだよ……!
お前が愛おしそうに銜えてるそいつだ……」

「んっ……」

バクラの言葉が、徐々に高みに上っていく淫らな身体に染み渡っていく。


「ちゃんとオレ様を銜えてろよ……?
桃香……!!!!」

「んっ……!!!」

吐息と一緒に吐き出された、甘いバクラの声――――


バクラ……!


ば、くら…………!!!!


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