あー…と思わず声が漏れてしまった。チョコボ小屋の前でぺたりと座りこむ。何だろう、この胸の中のごちゃごちゃは。と、自分に言い訳してみたのだが、やはり理由なんてひとつしかなかった。

クリスタリウムに行った。いつも通り課題をやるため。いや、正直言うと、ここにいたら、エースが見つけてくれるかもしれないと…淡い期待は込めていた、ああそれは認めよう。エースと話がしたかった。エースと一緒にいたかった。エースと同じ時間を共有したかったのだ。…私はやっぱり、エースに恋してしまったようだった。いつ、何があってこうなってしまったのかは自分でもわからなかった。気付いたらこんなことを思うようになってしまった。自分は他の女の子のように、簡単に男に靡いたりしない、はずだった。結局、彼の思惑通りになってしまったのかもしれない。

案の定、エースはクリスタリウムにやってきた。…しかし、私の傍に来てはくれなかった。エースの隣には、彼と同じ0組の女の子がいた。二人で笑っていた。暫く待ってはみたものの、一向にこちらに来はしなかった。談笑する彼ら、それを見ているのがつらくなって、私は静かに席を立ちクリスタリウムを後にした。

部屋に帰って、抱えていた教科書と羊皮紙を机に投げ出し、すぐにチョコボ牧場へ行った。そこで冒頭に繋がる。まさか、こんな気持ちを抱く日がこようとは。戸惑いから、頬に涙が伝った。もう、なんだかよくわからないのだ。ここの所、ずっとわからない何かに心が支配されている。自分が何故泣いているのかも、何が悲しいのかも、ごちゃごちゃで整理できなかった。傍らのヒナチョコボが、私が泣きだしたのを見て、慰めるようにくえくえと鳴いた。


「私ね、エースのこと好きになっちゃったみたい」


おかしいね、とヒナチョコボに笑いかけると、私の傍らにいたヒナチョコボはちょこちょこと私の背後に移動した。その動きを目で追っていると、やがて私の後ろに人が立っているのに気付いた。


「え…」
「あ…」
「エース…?」
「ナマエ…」


聞かれた。




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