この状況。どうしようもないんだけど、どうにか出来ないものかと考えてしまう。だって彼はクールだから。何を考えているかなんてわかんない。私は弱くていつも彼に守られてばっかの頼りない奴で、なのに彼の傍にいる。絶対に彼と釣り合うような女ではないと思う。だって彼は強いから。私なんか必要としてない。彼は一人でも、ちゃんと生きていける。じゃあなんで里を抜けるときに、わざわざ私なんか連れ出したんだろう。手間がかかるだけなのに。一人で行って、私なんか置いていっちゃえばよかったのに。そんなことされたら私は、きっと寂しくてどうにかなってしまうだろうけれど…私は物言える立場じゃ、ないから。


「イタチ」

「なんだ」

「なんでもない」

「そうか」


こんなにもクールで強い彼は私の傍にいてくれるのだ。彼は私になにも言ってはくれないけど。だから私はなにもしないで彼の隣でばかみたいににこにこ笑っていればいいんだ。それが私のするべきことなんだ。と勝手に思った。なんにも取り柄のない私はなんにもできなくて、彼のために生きていればいいんだと思ったの。


「ありがとう」

「どうした?」

「なんでもない」

「そうか」

「だいすき」

「ああ」


そっぽを向いた彼は知ってると言った。だから私はばかみたいににこにこ笑った。私はいますごく幸せだよ。あなたのためにいきられてよかった。あなたがだいすきだよ。

なんて。

すきの気持ちで精一杯な私にはいつも伝えられないけど。私の世界はあなた一色。




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