なんだか今日はいつもと違う。妙に胸騒ぎがするし、足元がふわふわする。私の変化がわかるのか、そばにいるサンダースがその場でくるくる回っている。目、回らないのかな…。空の青さが目にしみる。じんわりかいた汗が気持ち悪い。もう帰ろうか。と思って、止めていた足を動かし始めた。季節は冬だというのに太陽が熱い。風は北風。方向をたどると雪をかぶった山がある。シロガネ山。


「帰るの?」


たった今帰ろうと思ってポケモンセンターから離れた私に、頭上から声。見上げて、逆光に目を細めながら、この声は彼しかいないとわかっていた。ああ、やっぱり。目の前に降り立った彼はリザードンをボールに戻す。それを見てサンダースがぞわぞわと毛を逆立てていた。帽子の鍔をくっと下げて、ただいま、と呟く彼。


「お帰りなさい」
「ん、」


彼は気まぐれに帰ってくる。もちろん連絡なんてくれない。私だってこのシロガネ山麓のポケモンセンターにいつもいるいるわけではない、今日たまたま。でも今日は、何か帰ってくる気がしてた。帰ってくる日はざわざわして落ち着かない。もう一度お帰りなさいと呟いてから目の前の彼を見上げるが、無表情。でも頬に少し入った朱が可愛くて。背伸びして、私は彼にキスをした。


「ナマエの、ふいうち!」




なんちゃって。(その後彼に倍返しされました)




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