さっきからひっきりなしに鳴り続けるのはポケギアのコール音。もちろん俺のものではない。
「もしもしっ」
今度は誰だ。かすかに漏れてくる声はまた男のようだ。さっきも、その前も、男だったような。募るイライラを傍にいたイーブイを撫でることで発散する。わしゃわしゃと撫でたら喉を鳴らして擦り寄ってきたイーブイにちょっと和む。
「きのみくれるの!ありがとう!」
彼女が嬉しそうに声を上げた。きのみくらいな、俺だっていくらでもやるっつーの。大体電話かけてきてる奴はコイツに好意があるのがバレバレなんだよ。どこのどいつだそいつ潰すぞ。と思って思わずサイドンの入ったモンスターボールを握り締めた。彼女はじゃあね、と言ってポケギアから耳を話した。通話終了。全く、せっかくの休日で彼女と二人きりだっていうのに。何だこの感じ。って思ったそばからまた電話が鳴っている。後ろから彼女に近付いて、ポケギアを取り上げた。
「コレ没収な」
「あ!ちょっと」
煩く鳴っていたポケギアの電源をオフにし、そこら辺に放り投げて。納得いかなそうな顔で俺を見てくる彼女に、噛み付くようなキスを送っておいた。
オイ、あんま嫉妬させんな。別に他の奴らと仲良くすんなとは言わねーから、二人のときくらい俺に構え。
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